自閉症の子供を抱えてつらい事のひとつにまわりの目という点が挙げられます。
自閉症の子供は周りから見れば自己中心的で、わがままな子供に見えます。
今回は自閉症にまつわる誤解について説明させていただきます。
自閉症は生まれ持った障害
自閉症の子供の中には大きな声でわめいたり、大人の言う事も聞かずに走り回ったり、順番などルールを守れずに遊んだりしてしまいます。
近所の同世代の親で自閉症や発達障害に理解がない方からは「しつけがなってない」と思われてしまいます。
ここで誤解のないように言っておきますが、自閉症は人が生まれつきもっている脳の機能の器質の異常です。
生まれた時から自閉症であって、成長と共に問題行動が表面化していったという事になります。
親は自閉症の疑いを持たれたり、診断を下された時、自分の子育てに疑念を持ったり、後悔したりします。
自分を責めたくなる気持ちはよくわかります。
私も、子供が自閉症スペクトラムと診断を受けた時には自分を責めましたし、なんでこうなったのだと後悔しました。
医者から育て方や環境の問題ではないとはっきり明言をいただいても、そのような思考になってしまうものなのです。
そして周囲からは「しつけが出来ていない子供」「甘やかされて育った子供」という偏見や誤解が生まれてしまい本人や家族を悩ませてしまうのです。
療育は社会に溶け込む訓練
そんな誤解を受けた時、親はどのような対応をとればいいのでしょうか?
この問題に対しては明確な答えは存在しないのですが、私が行ってきた対応方法を紹介させていただきます。
子供が大きな声をあげて走り回って迷惑をかけた時はどのように対応すればいいのでしょうか?!
誤解している方に「この子は自閉症なので…。どうか理解していただけませんか?」なんて言っても理解していただける訳はありません。
「どうも、すいません」と謝ってその場を去って対応方法を練っていきます。
自閉症の専門医や発達支援センターなど知識のある方に、こういう場合はどう対応していけばいいのか相談します。
長男は視覚優位だったので、静かにしますカードや、走りませんカードを作って子供に見せるようにしていきました。
視覚優位の子供は耳から入ってくる情報より、目で見た情報の方が処理をするのが得意と言われています。
なので騒いでいる子供に何度、「静かにしましょう」と言っても言葉では伝わりずらいのです。
何度か言葉で言っても通じないのにカードを見せれば、すぐに静かになったりする場合があります。
こうやって療育を通してコミュニケーションを高めていく事で社会的ルールを学んでいく事ができるのです。
自閉症が治ったという誤解
私が自閉症と付き合っていく中で、心を揺れ動かされた事の一つに自閉症が治ったという情報が多かったという事です。
最初に申しました通り自閉症は脳の障害なので「治る」という事はありません。
ただし、療育を通して本人の理解を深めたり、まわりが適切にサポートしてあげる事で問題なく社会生活を送っていけるようになった例はたくさんあります。
ここら辺が誤解されやすい点です。
「治る」のではなく、療育やまわりのサポートの結果、「社会的に問題のないレベルまで適応した」という事になります。
この点をしっかりしておかないと、あやしげな自閉症を治すサプリメントや体から毒素を排出させる治療などに走ってしまう事になります。
親は藁をもすがる思いで自閉症を治す方法を調べます。
私も自閉症を治すにはどうすればよいのか調べまくって、水中毒やキレート剤などにたどり着いたものです。
今だから断言できますが、自閉症を治そうという考えは捨てて、療育を通じていかに社会に適応させていくかにシフトチェンジするべきなのです。
自閉症と言う言葉は誤解を生みやすいと思います。
自閉症は脳の障害で、まわりのサポートが必須になります。
少しでも多くの方が、理解をして自閉症や発達障害の方が住みやすい社会を築き上げていく事が大切となります。
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